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第2回 「アルノ川沿い・ルンガルノ」
 フィレンツェの街を東西に貫いて流れているアルノ川。そこに架かる数本の橋からから眺める街並みは、格別です。またアルノ川沿いには、ルネサンス芸術の宝庫ウフィッツィ美術館があり、世界中の人々を今なお魅了し続けています。順正が修復していた絵画の作者チーゴリの作品もここで見ることができます。

写真・文=岡田 麻里
ルンガルノの夕景
 順正が、工房とアパートの間をバイクで何度も走り抜けていたサンタ・サンタ・トリニタ橋。そこから臨むルンガルノ(アルノ川沿い)の夕景はまさに絶景。紫がかったピンク色の空が川面に映り、夕刻の一時、人々を魅了します。
 オルトラルノから、16世紀後半にB.アンマンナーティの設計によって造られたこの橋を渡ってチェントロ(町の中心地)に入ります。橋から続くトルナヴォーニ通り左手には、D.ギルランダイオのフレスコ画“聖フランチェスコ伝”や“牧者の礼拝”で知られるサンタ・トリニタ教会があります。
ルンガルノの路地裏
 高級ブティックが並ぶトルナヴォーニ通り、5ツ星ホテルが並ぶ優雅なルンガルノとは一変して、サンタ・トリニタ橋付近は、路地を一本入るとモトリーノ(スクーター)が並ぶ狭い裏道に。川沿いから差し込んだ斜光が石畳に美しいシルエットを映し出します。
ヴェッキオ橋とヴェッキオ宮殿
 ヴィヴァホテル ピッティ・パレスのテラスから臨むクーポラとヴェッキオ橋。右手に見えるのは、ヴェッキオ宮殿。手前に伸びる屋根はヴェッキオ橋。橋の両側には中世の趣を残した小さな宝飾店が軒を連ね、眩しいほどのショーウィンドウを覗きながら橋を行き交う人で溢れていますが、実は15世紀にはこれらの商店は肉屋だったとか。悪臭が漂い、不衛生だと指摘した当時のトスカーナ大公、メディチ家のメディチ家のフェルディナンド1世が、16世紀の終わりに肉屋を一掃し、金細工師を集めたと言われています。アルノ川に架かる橋の中で、唯一戦火からも逃れ、1300年代半ばから変わらぬ姿を残しています。“ポンテ・ヴェッキオ”という名の通り、フィレンツェ最古の橋。
サン・ニッコロ橋
 サン・ニッコロ橋は、町の東方面に位置していて、チェントロからはやや離れたところに架けられています。橋の袂に公園があり、晴れた日には、人々が思い思いにのんびりと時を過ごしています。橋の上からは、ドゥオーモ、ヴェッキオ橋、ヴェッキオ宮殿が一望でき、アルノ川ではカヌーを漕ぐこともできます。とにかく日光浴を愛してやまないイタリア人にとって、お日様の下で過ごすのが至福の喜びのよう。春から初夏にかけて、フィレンツェは一番良い季節になります。
サン・ニッコロ橋を渡ったところに、小さな給油所を発見。壁面にとても可愛い絵が画かれていて、思わずシャッターを切りました。テラコッタの上に画かれているのは、「BUON VIAGGIO(良い旅を)」。「40年も前からこの場所にある
んだよ」と、給油所のおじさん。
ウフィッツィ美術館
 ウフィッツィ美術館内からのヴェッキオ橋の眺め。手前からヴェッキオ橋に続く煉瓦色の屋根は、「ヴァザーリの回廊」です。何と、ここからヴェッキオ橋、川向こうのサンタ・フェリチタ教会を通り抜け、さらにピッティ宮殿まで続きます。メディチ家が避難通路とし建設し、現在はギャラリーとなっています。見学するには、予約が必要。  
路上画家たち
 ウフィッツィ美術館前には、多くの路上画家が集まってきて、似顔絵やトスカナーナの田園風景を描いています。上手な画家の周りにはあっという間に人垣ができ、モデルと作品を見比べながら、感心して見入っていました。特にこの日は、きれいな女性が似顔絵のモデルとなっていたせいか、大勢の見物人が彼らを取り囲んでいました。
芸術家の卵
 もちろん、ここには芸術家を志す若者も大勢集まってきます。スケッチブックを取り出し、ヴェッキオ宮殿前のダヴィデ像や、ロッジャ・デッラ・シニョリーア(シニョリーア広場に面してある開廊)の彫像などを熱心にデッサンしている姿をよく目にします。
岡田 麻里(Okada Mari)
イタリア・フィレンツェ在住。(株)IMAGICA退職後、1998年6月に渡伊。
Fondazione Studio Marangoni ( Firenze )にて写真技術を学んだ後、トスカーナ州を中心にイタリア国内外で写真を撮り続けている。フィレンツェのISTITUTO EUROPEOや 東京飯田橋 ギャラリー21などで写真展やグループ展を開催。