ヴェネツィアを守るための新プロジェクト ヴェネツィアを守るための新プロジェクト
 世界遺産のひとつであり、輝かしい歴史と文化を持ち合わせた街、ヴェネツィア。全部の島を合わせてもたった6万人の住民しかいないこの小さな土地に、なんと年間1,200万人もの観光客が押し寄せています。しかしながら現在、ヴェネツィアでは、文化遺産保護やアックア・アルタ(高潮)、人口流出など様々な問題が深刻となり、それらの対応が急務となっています。ヴェネツィアは、その声を世界に向かって発し始めました。

 去る9月30日(月)、都内でヴェネツィア市長パオロ・コスタ氏は「ヴェネツィアを守るための新プロジェクト」に関する記者会見を行い、プロジェクトのひとつである「ヴェネツィアマーク」を大きく取り上げました。これは、ヴェネツィアをイメージした商品の品質やサービス、イベントなどの質を保証する「ヴェネツィアのトレードマーク」を作ろうというものです。

 そもそもこのアイデアは、アメリカ(148件という調査結果)をはじめ世界各地でヴェネツィアのマークが商業的に不当利用されているという事実を危惧して考案されました。ヴェネツィア市としては、これらの企業に一定の基準を設けてライセンスを発行し、ヴェネツィアのイメージをうたった商品の品質を保証し、購買者の質を高めたいという意図があります。もちろん、ロイヤルティーによって、財政的な問題を解決しようという試みもありますが、決して乱暴な徴収ではなく、ヴェネツィアのイメージを相乗的に高めていくことが目的です。

 今年7月に世界各国の広告企業・デザイン会社に向けてこの公募の発表を行ったところ、その日のうちに300件以上の問い合わせが殺到。現在、選考が行われており、12月9日にニューヨークで発表されます。
 ヴェネツィアは、歴史的遺産を持つ「過去の都市」でもあり、同時に車を持たないウォーターフロントは、「未来の都市」としての可能性を秘めた都市でもあります。従来の陸・車の発想から、思考・コミュニケーションという「知」の時代へと転換していくこれからにおいて、ヴェネツィアに、新しい都市のありかたを見てとることができるはずです。このプロジェクトに協力することは、ヴェネツィア、ひいては私たち自身の未来に貢献することになるでしょう。
現在このような取り組みで成果を収めているものに、ニューヨーク市の「I love New York」のマークがあります。25年前に発表されて以来、全世界に強く印象を与え続け、2000以上の会社がこのロゴマークを使用し、ロイヤルティーは年間百万ドルにのぼっています。
 ロゴプロジェクト以外に、ヴェネツィアで行われているプロジェクトのいくつかを紹介します。計画は現在着々と進められ、2003年あたりからその姿を現わします。
フェニーチェ劇場
1996年、火災に見舞われ外壁以外はすべて焼失するという大惨事に見舞われたフェニーチェ劇場。かつて「世界中で最も優美な劇場」と形容されていたこの劇場が、2003年をめどに、ようやく再オープンとなります。現在、イタリアの著名な建築家アルド・ロッシ氏の手により補修改築工事が進られています。プロジェクトの基本方針は、オリジナルに忠実に再現することですが、地下には用水池を設け、劇場とその周辺の火災に備える設備も新たに加わっています。
ヴェガ(VEGA)ハイテクノロジーセンター
ヴェガ(Venice Gateway)は、ハイテクノロジーとその関連サービス業が統合したセンターです。イタリア北東経済の中心地にあたる、ラグーンの活動圏内に位置し、各主要高速道路、近代都市、国際空港に通じています。
クレメンテ島
サン・クレメンテ島の重要な「オールドタウン」を会議場、ビューティセンター、スポーツ施設を兼ね備えた世界有数の豪華ホテルに変えようというプロジェクト。2003年春にはオープンする予定です。
サンジュリアーノ公園
サンジュリアーノ公園は、ラグーナの沿岸、ヴェネツィアとメストレの中間地点にあり、広さは700ヘクタール。海に浮かぶヨーロッパ最大の公園です。今回、アントニオ・ディ・マンブロ氏によるプロジェクトで、公害に侵された区域の安全性を高め、排水システムの改善のため、運河やラグーナの堤防修築などを含めた地形再調節を行い、メストレ市や各主要道路、駐車場などと公園を結ぶ自転車道、歩道橋の設定を予定。1万5千本以上の緑林と8千本以上の潅木を持つ豊富な緑に囲まれ、ラグーン特有の26種の自然環境を集めます。2003年9月に公園の一部と二つの高見台が市民に開放される予定。
カラトラーヴァ橋
サンタルチア駅と、陸からの自動車の終点に当たるローマ広場の間に架けられるこの橋は、著名な現代建築家サンティアーゴ・カラトラーヴァ氏により設計され、完成すれば1500年代につくられたリアルト、1900年代の傑作アカデミア、スカルツィについで、大運河(カナル・グランデ)にかかる4つ目の橋となります。アーチ型で、全長81メートオル、ベース幅6メートル、中央部9メートル、最頂点までの高さが10メートル。鋼鉄製の骨組み、床面はガラスとイストリア石、欄干はガラス、手すりは青銅となるこの橋を、カラトラーヴァ氏は「光のタラップ」と名付けています。街へのアクセスが飛躍的に向上するのみならず、この新しい橋のシンボル的価値は高く、半世紀ほど停止していたヴェネツィアに蘇る偉大な建築物として期待されています。
スプラグナーレ
これはテッセラ地区の空港から、ムラノ島を経由してアルセナーレ(旧海軍造船所)まで、ラグーナの水面下に地下鉄を通す計画です。3.5メートル幅のレールで、全長8キロ、7つの駅を設置し、所用時間は9分と推定されています。1時間に8便、各便に約300人収容、1年間でののべ600万人を町の中心へ運びます。この地下鉄は、多数の観光客を歴史的中心地へと誘うばかりでなく、アルセナーレ地区の復興にも大きな影響を与えます。空港ターミナルや新スタジアムなどが誘致され、ヴェネツィアに経済的活力を与えることになるでしょう。
↑ページの先頭に戻る ←ひとつ前に戻る