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真夏のポンペイの日中は35度を上回る。大地はからからに乾ききり、眩しい陽光をさえぎるものはほとんどない。そんなポンペイの遺跡に今はたった一軒のカフェだけ。しかし、ポンペイで水分をとることのできる場所はカフェだけではない。今でも古代ローマの水道が使用できるのである。ポンペイの銀座通りともいえるアボンダンツァ通りにはいくつもの水くみ場があり、彫刻が施された水道から流れ出る冷たい水が観光客ののどを潤す。
ローマ時代のポンペイには3種類の水道が引かれていた。ひとつは共同の水くみ場のための水道、二つ目は公共浴場のための水道、三つ目は富裕層の家庭に送られる個人のための水道だ。富裕層の家だけとはいえ上下水道が引かれ、噴水から水が迸る。電気やガスの設備はないが、壁や床に熱い空気を流す暖房システムも工夫され、贅沢な環境のなかで人々は生活していた。
整備されていたのは水道だけではない。アボンダンツァ通りは、馬車や馬の通る車道と人が歩く歩道に分かれていた。通りは舗装されていて、車道を渡るための飛び石があり、横断歩道の役目をしていた。仕事や買い物に行く人々は安全な歩道を歩き、歩行者天国となっていた公共広場に向かったのだろう。紀元一世紀、日本の弥生時代と同じ時期のことである。
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