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“ La vita' e' una Favola!”人生はお伽噺さ! - ロベルト・ベニーニ
ベニーニは自著の中でこう語ります。「ピノッキオの物語は生きる喜びの物語なんだ」。(ベニーニ著「Io un po' Pinocchio」より)
映画『ピノッキオ』には、人生に関する多くのテーマが掲げられています。ジェペット爺さんの家には「貧窮とは心の状態を映し出すと同時に豊かさにもなり得る」というメッセージがあります。聖母の慈愛を象徴する青い妖精は「美は短命だからこそ美しく儚いもの。喜びを与えることは世界でできる最も美しいこと」と語りかけます。
上映時間は約2時間ですが、あっという間の時間でした。イタリアでも上映館数を増やし、公開第1週目は10,417,030人動員で第1位。個人的にも楽しめる映画でしたし、約49億円の制作費も美しい映像世界を創り出しています。テンポよく進むので良く言えば飽きさせないのですが、逆に言えばストーリーだけが目の前を流れて行き、細部のディテールが伝わってこない印象も否めません。しかし、今回のベニーニは観客に生きる喜びを伝えることに徹したように見えますし、それは児童文学が担う役目でもあるのでしょう。
この物語を楽しい豊かなものにしているのは、冒険劇という主題より劇中に登場するあらゆる事物に対し人間としての「命」が吹き込まれ、擬人化されていること。イタリア独立戦争に出兵し、命の儚さや尊さを見た作者のコッローディは「あらゆる物は等価な命」と捉え、ピノッキオをはじめ劇中に登場するコオロギや動物たちにも生き生きとした感情を与えており、映画の中でもイタリア伝統のコメディア・デッル・ラルテ(芸術喜劇)として表現されています。
この映画で私の印象に残るのは実は豪華なセットでなく、屋外で撮影されたトスカーナの葡萄が連なる丘陵地帯や、イタリア南部の海岸です。“自然”というメタフィジック且つ絶対的な存在の前に、ベニーニ紛するピノッキオが風のように駆け抜けてゆく、夢とも現実ともつかぬ鳥瞰からの眺めは圧巻です。
“生きる喜びのマエストロ”である彼らが創りあげたUna favola。素直な気持ちで受け止めたいと思います。
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| ミラノ在住・藤沢綾子 |
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