10年前、私はまだ婚約者であった夫から運転を教わることを試みた。2人で近所の大型駐車場へ。スポーツスタジアムの駐車場で、試合がない時は駐車場というよりは空き地という感じなので、練習には最適なのだ。「子供でも運転できるんだし、私にだって簡単なはず!」とドキドキワクワク、練習開始だ。
しかし、夫の第一声を聞いて、いきなり「???」な私。夫は「ヴォランテ!ヴォランテ!」と連呼している。一体何のことだろうかと思ったら、ハンドルのこと。そんな基本的な言葉も知らなかったので、先ずは運転用語を覚えることからレッスンは始まってしまった、とほほ・・・・・・。
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ハンドル、アクセル、ブレーキ、クラッチ程度の単語を覚え、いよいよ発進!私が生まれて始めてエンジンをかけた車はFIAT131。元々は義父の物で、夫が譲り受けたものだが、16年落ちのオンボロ。おかげで私も「どこにぶつけても平気!」という思いでレッスンを始められた。
余談だが実はこの車、当時からオンボロだったにもかかわらず、その後ありがたいことに7年も走り続けてくれた。最後はいつ止まってしまうか分からないので、15分以上の走行は避けていた状態だったが・・・・・・。でも、そんなオンボロがナポリの町にはよく似合っていた。普通の車なら盗難の恐れから短時間の駐車でも厳重にガードしないといけないが、オンボロには何も必要ない。夫はどこでも安心して駐車していた。まさに足代わり!3年前にご臨終したのだが、イカツイデザインの131はそれまでなんと23年間も走ってくれたのだ!
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| 外も中もオンボロボロのFIAT131。でも23年も走ってくれれば万々歳! |
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レッスンに話を戻そう。基本的な単語だけ覚え、夫からエンジンのかけ方、アクセルの踏み方、止まり方などを駆け足で教わるが、人に運転を教えた経験のない夫は全くの初心者の私に苛立ち、私は私でこちらの気持ちを考えずに先に先に進もうとする夫の教え方についていけなくなり、直進100メートルしたところで大喧嘩に。 |
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「うわ! またエンストかよ! オマエはこの車を壊す気か?!」「仕方ないじゃない、生まれて始めて運転するんだもん。それにこんなボロ車、私が壊さなくてもその内、自滅よ!」と、言い争いを始め、「もういい、レッスンは永久に終わりだ!」「私こそゴメンよ!!」とサイアクの状態に。結局、運転レッスンは15分で終わってしまったのだ……無念。 |
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夫はもうレッスンをしてくれないようだったし、私も夫に怒られっぱなしの練習を経験し、運転が怖くなってしまい、免許取得をあっけなく諦めてしまった。8歳のドライバー、サルヴァトーレは「1回で諦めちゃいけないよぉ!」と励ましてくれたが、固く閉じた貝のようになってしまった私。
あれから10年、イタリア滞在13年、内ナポリ12年……身も心もすっかりナポレターナ化した私は、「今度こそ!」と再び立ち上がったのだ! |
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アキ・ダモーレ
主婦・グラフィックデザイナー
東京出身。1991年よりイタリア在住。ナポリをこよなく愛し、人口4万のナポリ郊外の町に、ナポレターノの夫とハーフの息子と共に暮らす。イタリア生活紹介サイト「io」はほぼ毎日更新!
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