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ナポリを形容する言葉に『カオス“chaos” 「混沌」、「混乱」の意)』があるが、車・運転に関しても、ナポリは正にカオスである。2車線の道路に3〜4列の車が走り、対向車線を行く車も。渋滞の中でも平気で爆走するドライバーばかりで「ナポリでタクシーに乗ったら、ジェットコースターみたいだった」と感想をこぼす観光客も多い。 |
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| ビニールシートを貼って外が見えるようにするのは上級テク?このようにガムテープで覆ってしまうケースもある。外が見えなくなっちゃったのに存在するサイドミラーがもの悲しい〜! |
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2重駐車はあたりまえで、3重4重もあったり。そして車の外観がまた激しい。サイドミラーがないのは序の口で、ライトも壊れているし、ボコボコに凹んだ車も多い。窓ガラスがない車もそこらじゅうに!そんな車はどうやって走っているかというと、ビニールシートをあてがってテープで留めて走っているのだ。発展途上国ならまだしも、仮にも先進国イタリアの、3番目に大きな都市の話である。
でも、そんなカオスが好きになった。気性の激しい、アツイ人間たちに惚れ込んで、ナポリ永住を心に誓った私は、乱暴な運転にも『ナポリらしさ』を感じてしまったのだ。それに暴走しているように見えても、運転がうまい人が多いのも事実。だから車にまったく興味のなかった私も、そんな中でナポリ風な運転をしてみたくなったのだ。 |
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「ナポリでは誰もまともに免許は取らない」「闇市で売っている」「外国人でも金出せば発行してもらえる」などと、決してジョークではなく、ナポリでならいかにもありそう話も聞いたが、正規の免許取得をする場合、イタリアでは日本のように練習コースのある教習所などなく、いきなり一般道で教習が始まる。 |
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| 信号のない大通りもたくさん。車がドンドン走行する中を歩行者は器用に横断していく。ベビーカーだって車をぬって渡ります。 |
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そのせいかどうかは知らないが、皆が口を揃えて助言したのは「教習所に行く前に運転を覚えておいた方が取得しやすい」という事であった。これは何もナポリに限った話ではなく、イタリア全土でそのようで、免許を取る前に先輩ドライバーから運転を教えてもらうと、ラクに免許が取れると言うことだった。運転は教習所で一から教えてもらうものと思っていたのでビックリしたけれど、そんな話を聞いた後、近所の八百屋でますます驚きの場面を目撃! |
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お店の前に駐車してあった軽トラが邪魔で、どかしてくれと言う人がやってきて、それを聞いた八百屋のオヤジが「おい、サルヴァトーレ。車、寄せてきてくれないか?」と息子に頼む……しかし、そのサルヴァトーレは10歳にも満たない子供だったのだ! |
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そしてサルヴァトーレは何食わぬ顔で軽トラに乗り、何食わぬ顔でエンジンをかけ、何食わぬ顔で軽トラをどかし、店内に戻ってきた。店内の客たちも何食わぬ顔して、普通に買い物を続けており、驚いていたのは私だけだった。「あ、あの……サルヴァトーレ……。あんた、運転できるの?」と聞くと「この年だから、おおっぴらには走れないけど、ちゃんと一通り出来るんだよ!」と答えるではないか! 私が運転できないと言うと「じゃ、アキ、僕が教えてあげるよ!」とも。「ところで、サルヴァトーレ。キミ、何歳だっけ?」と聞くと「8歳だよ」と。マンマミーア!
運転免許というのは便宜上存在する物で、それを取る前に皆運転を覚えるという話は、どうやら本当だった。8歳の坊主が運転できるのなら、私にだって出来るはず!よーし、いっちょナポリで免許を取ってやろうじゃないか!と、決意を固めた私。かれこれ10年前のことであった。 |
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アキ・ダモーレ
主婦・グラフィックデザイナー
東京出身。1991年よりイタリア在住。ナポリをこよなく愛し、人口4万のナポリ郊外の町に、ナポレターノの夫とハーフの息子と共に暮らす。イタリア生活紹介サイト「io」はほぼ毎日更新!
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