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イタリアで、冬から春はレガーロ(プレゼント)の季節だ。まずは言うまでもなくクリスマス。年明け8日にはベファナ祭がある。これは「魔法使いが良い子には菓子、悪い子には墨を持ってくる」という言い伝えによるもの。実際は親がお菓子を用意する。続くカルネヴァーレ(カーニバル)には、お姫様や正義の味方の衣装を子どもたちに贈る。そして4月の復活祭(パスクァ)には、中におまけの入った卵型チョコを贈りあう。
クリスマス以外は子どもが主役だが、もちろん大人も、それに合わせて色んなプレゼントを交換する。
さて今回のことわざ、ボクはそんなプレゼント集中期になると思い出す。
一般的に馬(cavallo:cavalは語尾を短縮した形:m)の年齢や健康状態は、口の中や歯を見ればわかるという。
その昔、イタリアでも馬は貴重で高価だった。したがって、もし馬をもらった(donato:donareの過去分詞)ときは、口(bocca:f)の中なんかを見て(guarda)詮索したりせず、ありがたくもらおうゼ、というわけだ。
しかし、そうは言っても困ってしまうモノもある。
たとえば女房の友人・ファビオラおばさんのプレゼントは、絵付け陶器。絵心があるのをいいことに、白い陶器を見つけてきては、50近くとは思えぬ少女趣味のポピーとかヒマワリを描いて我が家にくれる。ポット、ティーカップ、ソーサー・・・もらうたび「頼むから、無地のままくれよ!」と喉まで出かかるが、いつも言えない。
「気に入らない時はハッキリ言おう」なんていうのは留学ガイドの話。芸術高校出身で自信満々のおばさんの前で、そう言えるのはイタリア人でもいない。
さてその彼女、わが家が引越しをしたら、今度は「コレ掛けてね」と皿時計をプレゼントしてくれた。もちろん肉筆ポピー柄入りである。チープなモノトーン家具の我が家とはミスマッチだ。掛けておかないと本人が来たとき気を悪くするかもしれなし、まったく困った。その頃からボクは、おばさんが登場するパーティーには「シゴトが忙しくて」と言い訳して、参加しないようになってしまった。
やがて夏がきたある日、女房が「おばさんから預かった」という袋を下げて帰ってきた。街で偶然会ってしまったらしい。もちろんボクは「また来たッ!」と身構えた。
恐る恐る開けてみると、入っていたのは男物の水着だった。そしてカードが添えられていた。
「Buon compleanno!ブォン・コンプレアンノ(=誕生日おめでとう)! 仕事ばっかりしてないで、たまにはヴァカンツァ(ヴァカンス)に行ってらっしゃい」−おばさんの粋な誕生日祝いに思わずニヤッと笑ってしまった。
ただしついに穿くこともなく、去年は夏が終わってしまった。誰が見てもおばさんの趣味らしい、目にも鮮やかな虹色海水パンツを。 |
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