“現代版『甘い生活』”として2004年のイタリア映画祭に登場したパオロ・ヴィルツィ監督の『Caterina va in citta’(カテリーナ、都会へ行く)』(2003)。都会へ出向き、大冒険に巻き込まれた子ブタのベイブよろしく、色白でちょっと太目のカテリーナちゃんが主人公。有名人の子供たちが通う学校に転入したカテリーナが、大都会ローマで未知の世界に遭遇する様はおかしくも切なく…。マストロヤンニのように渋くとはいきませんが、13歳の平凡な少女がぶつかる“事件”を通して、現代の“甘い生活”も決して甘くはないと感じます。
ヒット作、シルヴィオ・ソルディーニ監督の『Pane e tulipani(ベニスで恋して)』(2000)では、旅行中サービスエリアに置き去りにされた平凡な主婦ロザルバが、ふいに訪れたベネツィアで出会った人たちとロマンチックな“事件”を繰り広げます。原題の直訳は『パンとチューリップ』で、ここではお互いに“必要なもの”のシンボルとしてタイトルに仕込まれています。ブルーノ・ガンツ演じる朴訥な中年フェルナンドがロザルバから贈られたチューリップを見つめる場面は心に深く残ります。
アカデミー賞を受賞したロベルト・ベニーニの『La vita e’ bella(ライフ・イズ・ビューティフル)』(1997)。舞台こそユダヤ人収容所という非日常の場ですが、ベニーニならではのペーソスある切り口で変わらぬ夫婦・親子の絆を描いており、タイトルからは「どんな時でも“人生は素晴らしい”と希望を持つことが大切」というメッセージがダイレクトに伝わってきます。
子供の視点を通して社会全体を映しだす作品も多く発表されています。例えば、ガブリエーレ・サルバトレス監督の『Io non ho parura(ぼくは恐くない)』(2003)。偶然“穴”を見つけたことをきっかけに、大人の事情を知ってしまった主人公ミケーレ少年は恐れを乗り越え、自分の力で立ち向かおうとします。子供達が黄金色の麦畑を走リ抜ける場面など示唆的なシーンも多く、見終わった後にタイトルの重みをぐっと感じる映画です。
エマヌエーレ・クリアレーゼ監督の『Respiro(グラツィアの島)』(2002)も少年の目を通した美しい映画です。シチリアの閉鎖的な漁村ではもてあましてしまう自由奔放な母グラツィアをなんとか自分の力で救おうとするパスクァーレ。原題の“respiro”は本来“息”を意味しますが、この場合「元気か?」と聞かれたことに対する「何とか息してるよ」という返事。グラツィア役のヴァレリア・ゴリーノ以外は現地の一般人から選んだというネオリアリズムの手法も取り入れており、次男のフィリッポが興奮した時に話すシチリア弁は字幕が必要なほど完璧で、意味が解らない分余計にリアルな感情が伝わってきます。 |