イタリア人入門
第6弾 シンガーソングライター、パオロ・ラドゥさん「柔らか強いミュージシャン」
今回お付き合いいただいたのは、シンガーソングライターであるパオロ・ラドゥさん。バタバタと待ち合わせ場所の吉祥寺駅に到着した時、彼はすでに到着していた。とても柔らかな物腰で落ち着いた雰囲気。その彼にナビゲートされ、お気に入りのカフェとやらに連れて行ってもらった。どちらがゲストなのかを忘れて自然とお茶タイムは始まっていた。

まずは彼の音楽を聴いてみたいと思ったのだが、日本で本格的にバンド活動を始めるのは今年の4月以降の予定。現在はレコーディング中とのことで、残念ながらそれまでおあずけ。そこで彼の趣向を探り、どんな音楽が作られるのか、4月まで想像を楽しもうと思う。

25歳でプロデビューし、イタリアでミュージシャン活動をしてきたパオロさん。影響を受けた海外アーティストには、“Mr.Big”、“Van Halen”などがいる。“Mr.Big”のギタリストからは直接指導を受けたこともあるそうだ。そんな彼が好きな日本人ミュージシャンといえば“椎名林檎”“Cocco”“UA”など。海外ミュージシャンと日本のミュージシャンの好みの違いが意外だった。

日本文学では“三島由紀夫”がお気に入りとのこと。川のせせらぎが似合うような透明感とピースフルな雰囲気を併せ持った彼の趣向としては、これまたビックリな発言だった。好きな部分はいろいろあるようだが、特に三島文学でお気に入りなのは“古き良きものを守ってほしい”というメッセージ性。それは彼自身が東京で生活していて日々感じていることでもあるらしい。「東京は簡単に古き良きもの捨てて、海外のものや目新しいものにすり替えてしまう」と少し寂しそうに言う。

もう一つ。彼のアイデンティティーに“柔道スピリッツ”が大きく関っていることを忘れてはならない。日本に興味を抱き始めたのもここがきっかけになっている。“柔道”のことを全く知らない私は、体育会の硬いイメージしか持っていなかったけれど、“柔道”はその名の通り“柔らかい道”だとパオロさんが教えてくれた。その代表的な理念の一つに「柔よく剛を制す」というものがある。「しなやかな者がその柔軟性によって、かえって強く硬い者を制す。転じて弱い者が強い者に勝つ」という意味だそうだ。パオロさんの解釈には「どんなことがあっても動じず、ただ自分のやるべき事を遂行しろ」という部分もあるらしい。一見柔らかな雰囲気のパオロさんだけれど、それだけではなさそうだ。

「プロデューサー選びはすごく慎重。彼らの作りたい方向性と自分がやりたい方向性が違えばもちろん乗らない。ビジネスで人を当てにしたくないから、今はどこのプロダクションにも所属しない。自分たちで好きなように動きたいんだ。友人とレーベルを立ち上げる話も出ている」と仕事に対する確固たる姿勢も見せてくれた。でもそれ以外、音楽についてうんちくを語ることはなかった。

彼の中の“やるべき事、進むべき道”という幹がそこにあるからこそ、あとは自然に身を委ねられるのかもしれない。自分に制服を着せる必要はない。彼の感じるままに、いかようにも衣装を変えられるのだ。一見無防備なようにみえるその姿は、幹がしっかりとあるからこそできるワザだ。

日本という地で素敵なメンバーに巡り合い、純粋に自分たちの手で音楽を作り出しているパオロさん。4月からスタートするライブでは、日本人3人とパオロさんを含めたイタリア人2人、計5人の“MAGNOLIA”というバンドでお目見え。彼がこの地で何を感じ、どんな音楽を生み出してくれるのか、今からとても待ち遠しい。

彼についてもっと知りたい方は、こちらのホームページへどうぞ↓
http://www.myspace.com/paololadu
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プロフィール
岩波えり子
「日本人は電車の中でだれも話しかけてくれない」という、あるイタリア人の言葉が印象に残る。
イタリアの電車の中っていったい?澄みきった青い空、おおらかな人々、おいしい料理に漠然と憧れるイタリア関連超素人。
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