La Settimana Italiana 政治・経済
社会・文化
このコーナーではイタリアの政治、経済、社会、文化における注目ニュースをお届けしています。 毎週水曜日更新
社会・文化[2003/07/02]
■ メディアに関する「言論の自由」と「名誉毀損罪」


 基本的には日本もイタリアも「言論の自由」は憲法で保障されており、特定の人物のイメージをことごとく踏みにじったり、また日常生活を脅かさない限り大概のことは言論の自由で守られている。そして書かれた側は、その記事や報道が事実に反している、もしくは適切でなく不当な被害を被ったと感じる場合、「名誉毀損罪」として起訴することができる。最近、イタリアと日本の間で興味深い事が起きた。

 
1969年にミラノで起きた無差別テロ「フォンターナ事件」。アナルキスト、共産党、と次々に起訴されたものの、裁判では証拠不十分、決定的な証拠が見つからないまま時が経過している。そして現在、主犯格と言われ第一審判決では有罪となっているのがヴェネト出身のイタリア人Z氏。彼は長年にわたり日本でビジネスマンとして生活をしており、イタリア・ブランド品輸入業の第一人者である。現在では日本国籍を取得している。

 この裁判が始まってからイタリア政府は日本政府に身柄引渡しを要求しているものの、日本政府はそれを拒み続けている。この背景をイタリア日刊紙と日本の雑誌に掲載したイタリア人ジャーナリストが両国で「名誉毀損罪」で訴えられた。イタリアでの裁判では、Z氏の第一審の判決が下りていなかったにも関わらず、記事には信憑性があり、書かれた人物を不当に冒涜しているものではないとして「無罪」となった。そしてその後、第一審で終身刑が確定し、日本でも無罪かと思っていたところ100万円の罰金刑に処されたのである。

 この件に関し非常に興味深く感じる点は、保障されるべきである「言論の自由」の許容範囲である。同じ題材を取り扱ったにもかかわらず、イタリアでは無罪、日本では有罪という結果になったのである。何を不名誉とし、何を冒涜とするのか、というところにイタリアと日本の根本的違いがあるのかもしれない。ある事実背景をふまえた上で個人が個人の意見を述べることを保障するのは、民主主義である以上必須条件であると思うが、「言ってはいけないこと」の程度は国あるいは文化によって大きく異なるのかもしれない。
 

記事:山田裕美
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