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| 映画作りに携わるようになって初めて、ベニーニは本作で最新のSFX を使った。彼は独特な体の動きを見せるので、自分自身がSFX
になることは慣れているが、今回の製作は違った。この映画では、自分の肉体で演じたおとぎの世界に最後に魔法のベールをかけるように、視覚効果を使ったのである。マジシャンのように、それと解らないような微妙な使い方を狙った。 事実、本作には400 以上の視覚効果のカットが使われている。それを自然に組み込むために、ベニーニは、最近アン・リー監督作『グリーン・デスティニー』で驚きの映像を見せたロブ・ホジソンをSFX とデジタル技術の監督として招いた。ホジソンはこう振り返る。「この映画にどんな処理をすべきか、ロベルトと初めて話をしたとき、SFX のようには見えないSFX で映画を作ってほしいという、はっきりとした指示が出た。彼はSFX に意識がいかないようにしてほしい、けっして気づかれないようにSFX でいくつか要素を付け加えてほしいと思っていた」 ホジソンは本作の製作について、デジタル処理に芝居の肩代わりをさせるのではなく、セットでの動きを強調するようにデジタル処理を取り入れる「超リアリズムだ」という。作業のほとんどは実際のセットにデジタル映像を同化させていくものだが、魔法にかかった木の幹が逃げ出し、ジェペット爺さんの村に到着してピノッキオの物語が始まるところなど、あるシーンではほとんどすべてがコンピュータで作成されている。ホジソンはこう説明する。「これは映画の冒頭シーンでもあり、非常に重要である。このシーンがいかにこの映画のおかしさを決定づけるか、幾度となくロベルトから念を押された。だから、荷車から落ちて丸太がジェペットペット爺さんの家にたどり着くまで、一連の動きと影とを強調させながら、すべてコンピュータで再生しなければならなかった。しかも、その丸太の動きに意志を感じさせ、さらに狂暴さではなく優雅さを加味することを目指した」 ほかにもデジタル処理は、嘘をつくと急にピノッキオの鼻が伸びていくところでも、繰り返し使われている。実際にそのシーンの準備のために、ホジソンは鼻の実験を行った。「撮影前に鼻を最大でどこまで伸ばせるか、まず25cm、それから50cm、1m、2mと、作り物の鼻で試してみた」と彼は語る。 おそらく最もSFX が集中したシーンは、海のサメのシーンだろう。実物大の18mに及ぶサメの口のセットも作られたが、最終的にピノッキオが海の怪物に飲み込まれるシーンは、完全に3Dアニメで作られた。「まず歯の動きだけでなく、水とサメとの関係を調べるために、サメの模型を作った」とホジソンは語る。「そして、毎回カメラの位置をしっくりくるまで正確に計りながら、プールでベニーニの撮影を行った」 小さなおしゃべりコオロギや、巨大な火喰い親方など、キャラクターのサイズを小さくしたり大きくしたりする加工も施された。ハトもすべてコンピューター上で作られたが、これも複雑な作業を要した。ホジソンはこう説明する。「ハトがしゃべるということを一番に考慮しなければならなかった。しかもそのハトは通常より大きくて、動きが華麗だ。その為、まずコンピュータ上にハトを作り、それが美しい形になるまで羽をひとつずつ変えていった」 最後に、本作の音楽は、『ライフ・イズ・ビューティフル』の感動的な音楽でアカデミー賞に輝き、ロベルト・ベニーニとも長年のつきあいであるニコラ・ピオヴァーニの手に委ねられた。ピオヴァーニはまず、ストーリー全体を通してそれぞれのメインキャラクターの動きに伴うテーマ曲を作曲していった。また会話だけでは伝えられない根底にある“情感”を音楽で強調できたらとイメージした。彼はこう語る。「ベニーニからは、彼が俳優、監督、そして当然操り人形として表現していくこの物語の“感情”を、音楽でさらに後押ししてほしいと言われた」 本作に携わる他のアーティストと同様に、ピオヴァーニも作曲に際しては多くのことからインスピレーションを受けた。彼はこうまとめる。「まずコッローディ、次にドナーティとスピノッティの作り出した強烈な映像、さらにベニーニのすばらしいコンセプト、それからとりわけピノッキオの精神に導かれて仕事ができた」 こうして作曲されたやさしくも雄大なメロディの数々は、ベニーニが表現したかった“生れ故郷であるトスカーナの美しさ”をより一層際立たせた。 さらにエンドクレジットでは本作の主題歌「ピノッキオ・カンツォーネ」をベニーニ自ら歌い上げ、同朋であるトスカーナの人々への愛情を思う存分表現した。 |
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