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| 本作用に何百ものオリジナル衣装を作るにあたり、ダニーロ・ドナーティは時代考証に忠実であることよりも、完全に奇抜さを狙った。この童話の人気は時代を越えているので、パッチワーク効果でいろいろな時代の衣装をミックスできると考えたからだ。でも、たとえば帽子にパンを使ったり、ジャケットのボタンを小麦粉を練ったもので作ったりするなど、ファッションアイテムとしてまったく関係のないものも起用したりした。その結果、子供が着ていそうな、とてもカラフルで、想像力に富んだ、楽しい衣装の世界になった。 なかでも劇中でだんだんくたびれていくピノッキオの衣装は、一番重要であった。洋服のデザインそのものはまったく変わらないが、元気のいい少年が着ているだけに、物語の進行と共に洋服は痛み、洋服の状態は大きく変わる。そのため約20着の衣装が用意された。しかも、洋服の摩耗や場面ごとのニーズに合わせて、衣装はそれぞれ微妙に色を変えて染められた。衣装そのものは17世紀のイタリアの操り人形を参考にし、またコッローディが原作に書いてある「花柄の紙」に見えるように考えられた。その衣装の奇抜さを強調するために、真っ赤な花の柄は衣装ごとに一つひとつ人間の手でプリントされている。 また本作のキーポイントになるのが、青い妖精が着ている別世界のような衣装だ。これはドナーティとの協力で、イギリスの衣装デザイナー、ジェーン・ロウが担当した。ロウは14人のスタッフを率いて、ピノッキオの心に忘れがたい印象を残す妖精の輝きと不思議さとを反映させた衣装を生み出した。 ロウはこう説明する。「衣装をデザインする上でインスピレーションを受けたのは、水彩画だった。そのとき、妖精は透明の色を重ねた衣装を身にまとっているのではないかとひらめいた。でも幾重にも布が重なっているので、衣装が透き通って見えることはないが、まるで青、うす紫、ピンクの万華鏡のようだ」。さらに妖精にきらめきやうっとりした感じをつけ加えるために、ロウは何千もの細かなクリスタルガラスやスパンコールを散りばめた。ダンテ・スピノッティのカメラもそこに焦点を合わせている。 ドナーティは特定のデザインを採用したわけではないが、衣装のいくつかはフランスの画家でイラストレーターのオノレ・ドーミエの絵を参考にした。19世紀の庶民や、庶民を餌食にする暴利商人や詐欺師を風刺的にとらえた絵や政治漫画である。ドーミエはよく、コミカルだが怖い顔の動物を政府の邪悪な役人の代わりに使った。その影響は、悪党のキツネとネコのデザインなどに見られる。ジェペット爺さんの洋服には、19世紀の貧しい庶民を反映した格好に、孤独で根っからの善人であるお爺さんの本質が加味されている。 衣装が複雑であるように、メイクでも多くの特殊マスクや、長い鼻やロバの耳など、顔につける人工装具を作る必要があった。キツネやネコや物言うコオロギのようなキャラクターは、愛嬌のある動物に変身するために半日がかりのメイクをしなければならなかった。よりリアル感を出すために、メイクアップ・アーティストのジュリアン・マリーは、目や耳や鼻に、人間の肌に非常に近い特殊なゼラチンを使用した。マリーは最初から、自然界のすばらしい顔を参考にした。「動物のキャラクター作りのために、まずはその動物本来の個性をよくつかもうと、それぞれの動物の絵やビデオや写真を検証した。それから動物の特徴を人間の顔に移し替えていくために、俳優の顔も綿密に調べた」と語る。その結果、漫画が人間になったかのように、こっけいなキャラクターができ上がった。見た目は自然だが、ベニーニにも大変なメイクが待っていた。毎朝2 時間かけ、ピノッキオ役によりふさわしく、またこの映画のスタイルに合った顔へと微妙に整えていった。 ニコレッタ・ブラスキ演じる妖精は、別世界から来た存在であるように見えるメイクを目指した。「私たちは想像力をかき立てるような妖精にしたかった。ほとんど白に近いほのかな顔色でありながら、青やピンクの色が反射して明るく輝いて見えるようにするのに、髪と衣装の色をどうすべきか。私たちはかなり色々と試してみた。妖精の髪は、リアルであるが、同時に非現実的な感じが漂ってないといけなかった」 |
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